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【政府統計】事務の方が技術に比べて出世したときに給与が高くなる [e-Stat(政府統計): 令和2年職種別民間給与実態調査(1)]

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今回は「令和2年職種別民間給与実態調査」から得られた情報や考察を紹介していきます。2020年4月時点の給与です。

www.e-stat.go.jp

わかったこと

  • 初任給は学歴が高い方が金額が高い
  • 役職が上になるほど給与も高くなる
  • 事務の方が技術に比べて、出世したときに給与が高くなる
  • 大企業の方が給与は高い
  • 事務・非製造業は管理職と非管理職とで給与の差が大きく開く(課長代理vs係長)
  • 技術の方が事務に比べて、給与の年功序列が強い(役職間の差が小さい)
  • 事務・製造業は、役職間の給与の差がはっきりしている(役職が上がれば給与はちゃんと上がる)
  • 大学卒の方が高校卒に比べて給与が高い

前提条件

調査対象

従業員数50人以上の企業が対象になります。したがって、一般の割合に比べれば、大企業に偏った調査結果であると言えます。

企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の全国の民間事業所。 なお、本年は、新型コロナウイルス感染症に対処する医療現場の厳しい環境に鑑み、 病院は調査対象から除外した。

調査説明の資料

調査期間

2021年6月29日から9月30日です。

[1] 調査対象の人数

約335万人が対象になっています*2。「労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)12月分結果」によれば、日本の就業者は6,666万人、雇用者は5,984万人です。雇用者の約5%が対象となっています。

また、下記表を元に産業別調査対象者数の割合を概算すると、製造業が38%と大きな割合を占めています。

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調査対象となった事業所の規模の割合を比較すると、100人以上500人未満が最も多いです。調査対象が最低50人以上の事業所となっていることからも、大企業にやや偏った調査結果であると言えます。

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[2] 初任給

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職種、学歴別の初任給です。学歴の高い方が金額が高くなっています。高校卒が最も低く、博士過程終了が最も高くなっています。

職種では技術者が事務員に比べて、やや高い金額です。

[3] 職種別平均支給額

[3-1] 調査人員の割合

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[3-2] 職種の定義

  • [支店長・工場長] 構成員50人以上の支店(社)の長(取締役兼任者を除く。)
  • [事務部長・技術部長] 2課以上又は構成員20人以上の部の長。職能資格等が上記部の長と同等と認められる部の長及び部長級専門職(取締役兼任者を除く。)
  • [事務部次長・技術部次長] 上記部長に事故等のあるときの職務代行者。職能資格等が上記部の次長と同等と認められる部の次長及び部次長級専門職。中間職(部長-課長間)。
  • [事務課長・技術課長] 2係以上又は構成員10人以上の課の長。職能資格等が上記課の長と同等と認められる課の長及び課長級専門職。
  • [事務課長代理・技術課長代理] 上記課長に事故等のあるときの職務代行者。課長に直属し部下に係長等の役職者を有する者。課長に直属し部下4人以上を有する者。職能資格等が上記課長代理と同等と認められる課長代理及び課長代理級専門職。中間職(課長-係長間)。
  • [事務係長・技術係長] 係の長及び係長級専門職。
  • [事務主任・技術主任] 係長等のいる事業所における主任。係長等のいない事業所における主任のうち、課長代理以上に直属し、部下を有する者。係長等のいない事業所において、職能資格等が上記主任と同等と認められる主任。中間職(係長-係員間)。

主任・係長は定義が曖昧なため調べてみましたが明確な定義が見つかりませんでした。ネットで色々調べてみるに以下のイメージです。

  • 主任:一人前
  • 係長:管理もするけど管理職の権限は持たない
  • 課長代理:ここからが管理職、課長の代行権を持つ

[3-3] 平均支給額

当たり前の結果ですが、役職が上になるほど給与も高くなっています。

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用語の定義は次の通りです。

「きまって支給する給与」
基本給はもとより、年齢給、勤続給、地域給、寒冷地手当、能率給、家族手当、住 宅手当、精勤手当、職務手当、通勤手当、役付手当、超過勤務手当、夜勤手当、休日 手当等月ごとに支給される全ての給与を含めたものをいう。
「時間外手当」
きまって支給する給与に含まれ、超過勤務手当、休日手当、宿日直手当、裁量手当 等の時間外手当をいう。
通勤手当
きまって支給する給与に含まれ、通勤定期券、ガソリン代などの現物支給されたも のを含めたものをいう。

職種別民間給与実態調査

技術の方が事務よりも時間外手当が高くなっています。技術の方が残業時間が長いということでしょう。

時間外手当と通勤手当を除いた金額は、係長までは技術の方が高く、課長代理以降は事務の方が高くなっています。事務の方が出世するほど給与の伸び幅が大きくなっています。

[3-4] 平均年齢

平均年齢も役職が上になるほど高くなっています。

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[4] 年齢階層別平均支給額

[4-1] 職種別

前章でも述べたように、事務の方が出世に伴う給与の伸び幅が大きくなっています。一方、技術は役職が変わっても事務ほどの差はありません。

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一方、係員・主任・係長を比較すると技術の方が高い金額となっています。また、係員と主任の差が大きくなっています。

しかし、課長代理以降ですと、事務の方がやや高くなっています。また、技術の方が年齢による差が大きくなっており、若くして出世しても給与が上がりづらい傾向が読み取れます。技術の方が年功序列が強いと言えます。

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[4-2] 職種・企業規模別(事務)

企業規模別で見ると、やはり大企業の方が給与は高くなっています。また、前提的な傾向として、係長と課長代理とで差が開いています。管理職になると責任も重くなるので給与も一段階上がるということでしょう。

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[4-3] 職種・企業規模別(技術)

企業規模500人以上の場合には、技術も役職によってそれなりに給与の差がありました。係長と課長代理とで差がかなり少ないのは意外でした。管理職か否かで差があるのは事務だけのようです。

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企業規模500人未満の場合には、役職が上がっても給与に大きな差がありません。特に、100人未満の場合、本当に差が少なくて驚きました。傾向としては、主任と係長、課長代理と課長との差がほとんどありません。

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[4-4] 産業別

製造・非製造で見ると、製造の方が比較的、役職に応じて給与に差が出る傾向が見られます。特に、事務・製造に顕著な傾向です。

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非製造は特徴的で、前項までに述べてきた事務と技術間の違いがはっきり見られました。

係長・課長代理間の給与の差が大きいのは、事務・非製造ということがわかりました。

また、役職間で給与の差が少なく年功序列の傾向がみられるのは、技術・非製造です。

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[4-5] 学歴

学歴で見ると、大学卒が高校卒に比べて高い傾向にあります。

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高校卒の方は課長代理以降の役職と給与とが比例していませんが、理由はわかりませんでした。

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技術の方も事務と同様に、大学卒の方が給与が高い傾向にあります。

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技術の方は、高校卒の給与が役職と給与とが比例はしていますが、主任から次長で、役職間の給与差が小さくなっています。

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終わりに

今回は皆が気になるであろう、給与の統計データを見てきました。一般的に認知されていることですが、学歴が高く大企業の方が給与が高いという結果が見られました。大企業に学歴の高い人が集まりやすいということもあるでしょう。

次回も「令和2年職種別民間給与実態調査」から分かることを紹介します。

predora005.hatenablog.com

出典

*1:mohamed HassanによるPixabayからの画像

*2:正確には3,351,612人