【読書】経営戦略におけるポジショニング派とケイパビリティ派の違い
前記事に引き続き「マンガ 経営戦略全史 確立篇」の内容を紹介します。「マンガ 経営戦略全史 革新篇」の内容も若干含んでいます。
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https://predora005.hatenablog.com/entry/2021/07/15/190000predora005.hatenablog.com
ポジショニング派とケイパビリティ派
経営戦略論には「ポジショニング派」と「ケイパビリティ派」という考え方があります。
ポジショニング派は「儲かる市場を選んで敵に対して優位な場所を占めること」を重視する考え方。ニッチな市場で差別化を図る、大きな市場で低コストで勝負するなどです。高級車や高級ブランドは差別化の一例ですし、コンビニのプライベートブランドは低コストが売りですね。
ケイパビリティ派は「差別化できる経営資源が競争優位性につながる」と言う考え方。戦略や組織構造だけでなく、人材・スキル・経営スタイルといった経営資源とその使い方が重要ということです。高度経済成長期のキャノンやホンダがよく例に挙げられています。今で言うと、AppleやAmazonなどが該当すると思います。ポジショニングの要素もありますが、他社と明らかに異なる特徴を持った企業ですよね。
ポジショニング派のマイケル・ポーター
マイケル・ポーターが残したツールで有名なのは「5フォース分析」「戦略3類型」です。「5フォース分析」は業界構造を理解し「儲けられる市場」を判断するためのものです。
「戦略3類型」では「儲かる位置取り」を示しました。
5フォース分析で「儲けられる市場」を判断し、戦略3類型で「儲かる位置取り」を選択するということです。
ケイパビリティ派のジェイ・バーニー
ジェイ・バーニーは「RBV (Resource-Based-View」(資源ベースの戦略論)で有名な人物です。バーニーは同じ業界にいながら企業間でパフォーマンスに差があるのは「経営資源の使い方」に差があるからだと考えました。そして、経営資源を式として表しました。
経営資源の使い方が「持続的な競争優位性につながる」と考え「VRIOフレームワーク」を提唱しました。
RBVは外的環境変化が取り入れられる構造になっていないなど、欠点もある理論でした。発展途上の理論ではありましたが、ケイパビリティ派にとって中核コンセプトになりました。
結局はどちらも必要
ポジショニング派とケイパビリティ派、どちらを重視すべきかが競われていました。1,991年にリチャード・ルメルトが発表した論文によれば、ポジショニング15%, ケイパビリティ45%, 不確定要素40%でした。ケイパビリティの方が長期的に見ると重要ということです。
1,998年にミンツバーグが示した結論は「明確な答えはなくどちらが重要かは場合による」でした。企業の発展段階を一例として、発展期はポジショニングを重視、安定期にはケイパビリティを重視することを示していました。
終わりに
「マンガ 経営戦略全史 確立篇」はマンガということもあり、サクッと読めました。ポーターやドラッガーなど名前だけ聞いたことのあった人物が、どんな理論を提唱したのか知れて満足いく内容でした。
出典
- アイキャッチはGerd AltmannによるPixabayからの画像