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二輪車業界の株価予想(2020年12月)

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<二輪車業界の株価予想(2020年12月)> *1

二輪車業界の株価予想をしました*2

ここでいう二輪車に自転車は含みません。バイクや原付のことと思ってください。

株式投資はくれぐれも自己責任でお願いします。

[1] 二輪車業界の主要プレイヤー

ホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、川崎重工です。

2018年度の世界販売台数はホンダが2,023万台、売上は2兆1,000億円で世界第1位です。ヤマハ発動機の世界販売台数は第3位です*3

企業 売上 世界販売台数
ホンダ 2兆1,001億円 2,023万台
ヤマハ発動機 1兆221億円 537万台
スズキ 2,550億円 174万台
川崎重工 3,568億円 55万台

[2] 二輪車の需要

[2-1] 世界の需要

二輪市場は新興国が牽引しています。上から、インド、中国、インドネシアベトナムの順です。中国は自動車への以降期に入ったため減少すると見込まれています。市場全体で見れば、しばらくは緩やかな増加が見込まれます。

二輪車・バイク業界の動向・ランキング等を研究-業界動向サーチ

[2-2] 日本の需要

日本では減少の一途を辿っています。2013年と比べると、2020年は23%減です。かつては、原付第一種(最大30km/h)が販売台数の半分以上を占めていましたが激減しました。中型・大型二輪は原付ほどは減っていません。

2019年度二輪車市場動向調査について | JAMA

理由は原付に対する規制が厳しくなったことと、自転車に取って変わられていることです。電動アシスト付き自転車の売上は年々増えています。また、最近はロードバイクなどのスポーツ自転車も流行っていますね。

[3] 株価の推移

[3-1] 2020年の株価推移

コロナ禍で2月から3月にかけて大きく下落したものの、11月の大統領選挙後に大きく回復しています。通年で見ると年始と年末でほとんど変わっていません。 後述の通り、各社とも減収減益とは言え利益が出ることを受けてのことでしょう(川崎重工以外)。販売台数は回復の兆しを見せています。

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[3-2] 2016年以降の株価推移

スズキ以外は減少傾向にあります。各社とも二輪車以外の事業も行っていますので、減少の要因は各社それぞれです。要因についてはこの後見ていきます。

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[4] 各社の販売台数推移と内訳

[4-1] ホンダ

二輪事業は9割がアジアを占めています。もう1つの主力事業である、四輪事業においてもアジアが4割を占めており、アジアでの販売台数が重要であると分かります。

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販売台数の推移を見ると、コロナ禍で2019年度と2020年度は減少しています。2016年から2018年度で見ると、二輪車の増加率が大きいことが分かります。

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ライフクリエーション事業の販売台数は、パワープロダクツ(発電機、耕うん機、芝刈機、除雪機)などで構成されています。

[4-2] ヤマハ発動機

ヤマハ発動機アジアでの二輪車販売台数が8割以上を占めています。

ヤマハ発動機は、マリン事業が二輪車事業に継ぐ主力事業です。マリン事業は、ボートやウォータービークルの販売などを行っています。販売台数ではなく売上高の内訳ですが、こちらは北米が6割を占めています。

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販売台数の推移を見ると、近年はやや減少傾向です。ヤマハ発動機の決算は12月なので、新型コロナウィルスの影響は含まれていません。

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一方、マリン事業の方は二輪車事業と比較すると堅調です。ただ、2018年から2019年は横ばいなので、成長しているとは言えません。

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[4-3] スズキ

スズキも二輪車の販売台数の8割はアジアが占めています。特に、インドでの売上が4割を占めている点が大きな特徴です。

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スズキは、四輪事業が主力であり、二輪事業が売上や利益に占める割合は大きくありません(後述)。そのため、スズキの場合は四輪事業の成否が株価に大きく影響します。

販売台数の推移を見ると、コロナ禍の影響を受けています。コロナ以前(2015年度〜2018年度)は、四輪事業・二輪事業ともに販売台数を伸ばしています。

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四輪事業はインドでの販売台数が大きく伸びており、日本での販売台数も順調に増えています。

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[4-4] 川崎重工

川崎重工は販売台数の地域別内訳は無く、先進国・新興国で別れていました。内訳を見ると他の3社同様に、新興国の販売台数が大きな割合を占めています。

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コロナ以前は販売台数が増加してましたが、2019年度はコロナ禍の影響で減少しています。

[5] 各社のセグメント別売上と利益

[5-1] ホンダ

ホンダの売上高の6割は四輪事業が占めています。一方、営業利益は内訳が年度ごとに異なっており、二輪車事業と金融サービス業が安定しています。

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世界第1位の販売台数を誇る二輪車事業は、四輪事業と並ぶ利益を上げています。しかし、成長が鈍化していることや、為替影響などもあり年々利益率が低下していることが懸念点です。

[5-2] ヤマハ発動機

売上高の半分はランドモビリティ事業*4が占めており、ついでマリン事業となっています。一方、営業利益はマリン事業が半分を占めており、マリン事業の利益率が高いと分かります。

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ヤマハ発動機の決算は12月のため、このデータはコロナ禍の影響を織り込んでいません。最新の決算資料を見ると、当然コロナ禍の影響はあり、2020年12月期は減収減益を見込んでいます。

2019年度実績を見ると、ランドモビリティ事業とマリン事業は減益ですが、これは為替の影響もあります。ロボティクス事業は市況悪化による減益ですが、2019年度実績は概ね前年度と横ばいと言えます。

[5-3] スズキ

スズキは四輪事業が売上高・営業利益ともに9割を占めています。コロナ禍の影響で2019年度は減収減益となっていますが、2018年までは販売台数が伸び続けており順調と言えます。

二輪事業はスズキの場合には売上高に占める割合は低く、利益もゼロに近いです。

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スズキも当然新型コロナウィルスの影響を受けています。四輪車の販売台数は全ての地域で減少を見込んでいます。主戦場であるインド・アジアも大きな減少を見込んでいるため、今年度も減収減益も見込んでいます。

[5-4] 川崎重工

川崎重工の事業分野は他3社に比べて多岐に渡っています。その中でも航空宇宙システムが売上・営業利益のおよそ30%を占めていました。

しかし、コロナ禍の影響で航空業界が大打撃を受けていることから、2020年度見通しでは赤字予想となっています。

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二輪車事業は、モーターサイクル&エンジンに含まれます。売上高・営業利益ともに2割程度を占めています。コロナ禍により、2019年度は減収減益、2020年度見通しも減収減益です。

その他の事業も減益の見通しとなっており、2020年度は赤字予想です。

まとめ

[6-1] ホンダ

ホンダは二輪車の販売台数で世界第1位です。世界の販売台数の約30%を占めています。四輪事業の規模も大きく、売上高の6割を占めています。また、金融サービス業の利益率が高く、毎年利益を出しています。

懸念点は成長の鈍化です。二輪車のインドでの販売台数は鈍化しており、インドや台湾メーカーも台頭してきています。

いずれ、インドは自動車への以降期に入ります。二輪車の販売台数は横ばいになり、四輪車の販売台数はより増えると予想されます。また、インド以外の新興国での二輪車の販売台数は増えるでしょう。

今後、インドや新興国二輪車と四輪車の販売台数を増やせるかが株価上昇のカギとなりそうです。私はコロナ禍の収束により、2016年〜2017年の株価水準に戻る可能性はあるものの、それ以上の上昇の可能性は低いと見込んでいます。

事業は二輪車・四輪車の2つが主力であり、金融サービス業もホンダ製品販売のリースや融資です。二輪車と四輪車の販売台数増加には限度があるため、大きな株価上昇は無いという予想です。

[6-2] ヤマハ発動機

ヤマハ発動機もホンダ同様にアジアでの二輪車販売台数の増加が重要です。

しかし、先進国を中心としたマリン事業が好調ですし、ロボティクス事業を持っています。今後のロボット需要増加の中で売上を伸ばすことができれば、株価上昇も期待できます。

[6-3] スズキ

4社の中で唯一、2016年1月基準で株価が上昇しているのがスズキです。四輪車事業が9割の会社ですが、その四輪車事業が好調です。新型コロナウィルスの影響もあり2019年度は減収減益です。しかし、新興国でなく日本国内の販売台数も伸びており、利益も出ていることから株価が大きく下がる心配は無さそうです。

電気自動車やシェアライドが普及し始めたときに対抗できるかどうかは疑問です。しかし、普及にはまだしばらく時間がかかりそうです。そのため、コロナ禍の収束により一定の水準まで株価が上昇し、数年間は安定すると予想しています。

[6-4] 川崎重工

川崎重工は、二輪車事業の規模は大きくないものの、多岐に渡る事業で利益を出してきました。1事業がマイナスでも他事業で補えていました。しかし、コロナ禍により稼ぎ頭であった航空宇宙システムが大きな減益(前年比-500億円以上)となり、今年度は赤字となりそうです。

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また、気になる点は借入が増えていることです。自己資本比率は25%前後でしたが、20%近くまで低下する見通しです。

コロナ禍の影響はしばらく続きそうです。そのため、航空業界の回復にはしばらく時間がかかりそうです。航空宇宙システムの回復も遅れると想定されるため、会社全体の利益回復には時間がかかりそうです。

そのため、株価もしばらくは低調な状態が続くと予想されます。

終わりに

今回は二輪車業界の決算資料と株価を元に、今後の株価を予想してみました。

自分自身、二輪車業界に詳しいわけでもなく、二輪車に乗るわけでもありませんでした。なので、決算資料を見て業界のことが少しわかっただけでも収穫でした。

この予想が当たるのか外れるのか楽しみに待ちたいと思います。願わくば、コロナ禍が早く収束し、予想を裏切って各社の業績が回復して欲しいです。

参考資料

Honda | 投資家情報 | IR資料室 | 決算関連資料

決算・発表資料 - 株主・投資家情報 | ヤマハ発動機

投資家向け説明会|スズキ

決算説明資料 | IRライブラリ | 川崎重工業株式会社

*1:Free-PhotosによるPixabayからの画像

*2:2020年12月末の情報で予想しています

*3:日経業界地図 2020年版より

*4:二輪車、オフロードビークル電動アシスト自転車など