どこにでもいる30代SEの学習ブログ

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【読書】「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の感想

頭のなかの「ぐるぐる」を、伝わる言葉に〝翻訳〟したものが文章なのである。
出典:古賀史健. 20歳の自分に受けさせたい文章講義 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.215-216). Kindle 版.

自分の気持ちをうまく文章にできない、話せるのに書けない。よくありがちなことですよね、私も社会人になってしばらく経つまではそうでした。

話し言葉をそのまま文章にすればよいと言われたりもしています。しかし実際にやってみると、前後の文章がつながらなくて支離滅裂になったりします。 なぜかと言えば、そもそも「話すこと」と「書くこと」はまったく別の行為だからです。

うまく文章にできないのは、どういう状態なのか。頭の中を様々な思いが駆け巡っていて、その時点では言葉ではない、言葉以前の茫漠たる感覚。この頭を駆け巡る想いや感覚を「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の著者である古賀さんは「頭の中のぐるぐる」と呼んでいます。

以上は「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の冒頭部分の内容です。

https://www.amazon.co.jp/20%E6%AD%B3%E3%81%AE%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AB%E5%8F%97%E3%81%91%E3%81%95%E3%81%9B%E3%81%9F%E3%81%84%E6%96%87%E7%AB%A0%E8%AC%9B%E7%BE%A9-%E6%98%9F%E6%B5%B7%E7%A4%BE-SHINSHO-%E5%8F%A4%E8%B3%80%E5%8F%B2%E5%81%A5-ebook/dp/B08FR69RWM/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=www.amazon.co.jp

私は職業がSEということもあり、文章を書く機会がそれなりにあります。文章の達人でなくてもよいのですが、まったく書けないようだと仕事になりません。最低限相手に伝わる程度に書ける必要はあります。状況を報告をするにしても、ドキュメントを作りにしても、伝わらなければアウトです。

「20歳の自分に受けさせたい文章講義」の中で、仕事に活かせると思った点や、改めて重要だと感じた点を紹介します。

聞いた話を誰かに話すのが翻訳の第一歩

誰かに話すことによって、「3つの再」が得られます。

  1. 再構築:言葉にするプロセスで話の内容を再構築する
  2. 再発見:語り手の真意を「こういうことだったのか!」と再発見する
  3. 再認識:自分がどこに反応し、なにを面白いと思ったのか再認識する

「1. 再構築」は、私も仕事で、相手の理解度を確認するために使ったりもします。自分が相手に説明した内容を、相手の口から説明しなおしてもらいます。うまく説明できない場合はたいてい理解できていません。

「2. 再発見」は、聞いた時には分からなかったことに気づくことです。例えば、先日旅行に行ったことを自慢しているように見えて、実は今度一緒に旅行に行きたい思っているとか。あるいは、報告結果が正しいように見えて実は論理の破綻があったとか。

「3. 再認識」は、自分がどこにピントを合わせていたかです。同じ話でも聞き手によって、受け取り方が異なります。4人で焼肉を行った話であっても、ある人はどこの焼肉屋かにピントを合わせていて、ある人は一緒に行ったのが誰かにピントを合わせていたりします。

論理破綻に気づくためのキーワードは接続詞

以下は、本書に載っていた例文です。

企業のリストラが進み、日本の終身雇用制度は崩壊した。能力主義の浸透は、若手にとっては大きなチャンスでもある。若い世代の前途は明るい。学生たちは自信を持って就職活動に励んでほしい。
古賀史健. 20歳の自分に受けさせたい文章講義 (Japanese Edition) (Kindle の位置No.628-629). Kindle 版.

一見それっぽいことを書いているように見えるものの、それぞれの文の意味がつながっておらず、支離滅裂な文章です。

この文章に接続詞を加えると意味が通るか・・・というと通りません。接続詞を加えても成り立たないということは、そもそも論理が破綻しています。

論理の破綻に気づくには「そこに接続詞が入るかチェックせよ」というわけです。

文章の視覚的リズム

文章には文体と呼ばれるものがあり、その正体は「リズム」です。そして、リズムには視覚的リズム聴覚的リズムの2種類があります。読者は文章を眼で読んでいるので、視覚的リズムが今ひとつだと読みづらいと判断されます。

古賀さんは次の3点が、視覚的リズムを決める3つの要素だと述べています。

  1. 句読点の打ち方
  2. 改行のタイミング
  3. 漢字とひらがなのバランス

これは何となくイメージが付きやすいです。すでに気をつけている方も多い点だと思います。

自分の文章を音読する際のポイント

聴覚的リズムの良し悪しは、音読してチェックするのが効果的です。音読することは、自分の文章を客観的に見る手助けになります。次のポイントに注意し音読することで、読むだけでは気づかなかった点に気づけます。

  1. 読点「、」の位置を確認する
  2. 言葉の重複を確認する

断定はハイリスク・ハイリターン

断定した方がリズムと勢いがある

「5年後は音声メディアが世界を席巻するのではないかと考えられます」と「5年後は音声メディアが世界を席巻しています」だと、後者の方が聞いてて気持ちがいいですよね。

でも、どちらが正しいのかと言われれば前者です。未来のことを断定はできません。実際に文章を書いてみると分かりますが、断定を使うのは怖いです。断定は強烈な反発を食らうリスクがあります。しかし、断定を避けると説得力が低くなります。

どうすれば、断定を使えるのか。それは論理です。 断定する箇所の前後を、しっかりした論理で固めるしかありません。

断定を使った文章に論理の破綻があれば、読者からの攻撃を受けます。なので、断定を使う際はいつも以上に論理の正確性が求められます。少なくとも断定した箇所の前後2〜3行には細心の注意を払いましょう。

終わりに

紹介したのは第1講までの内容ですが、本書は第4講まであります。第1講までの内容が面白そうだと思った方は、第2講以降もオススメできる内容でした。

出典