どこにでもいる30代SEの学習ブログ

主にプログラミング関連の学習内容。読んだ本の感想や株式投資についても書いてます。

【読書】「フードテック革命」の感想 (1/2)

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「フードテック革命」という書籍を読んだので、紹介していきます。

内容が多かったので、2回に分けて書いています。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E9%9D%A9%E5%91%BD-%E4%B8%96%E7%95%8C700%E5%85%86%E5%86%86%E3%81%AE%E6%96%B0%E7%94%A3%E6%A5%AD-%E3%80%8C%E9%A3%9F%E3%80%8D%E3%81%AE%E9%80%B2%E5%8C%96%E3%81%A8%E5%86%8D%E5%AE%9A%E7%BE%A9-%E7%94%B0%E4%B8%AD%E5%AE%8F%E9%9A%86-ebook/dp/B08DFXTMLB/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=www.amazon.co.jp

[1] フードテックとは

フードテックという言葉は、FoodとTechnologyを掛け合わせた言葉です。近年、フードテックへの投資額が増えています。2010年は10億ドル以下、2017年は60億ドル弱でしたが、2019年には140億ドルに達しています。

フードテックの中でも「代替肉」はすでにアメリカで流行り始めています。「代替肉」とは動物の肉を使わない肉であり、大豆などの植物性原料を使ったものが主流です。

日本の食文化はアメリカとは異なりますから、アメリカほど流行らないにせよいずれ流行りが来そうです。

代替肉以外にも、キッチンOSやフードロボットも今後台頭してきそうです。

[2] フードテック x サステナビリティ

フードテックが流行り始めている理由は、他分野と同様にイノベーションによる側面は大きいです。しかし、健康被害や環境問題を改善という観点も大きく影響しています。

近年、企業に対するサステナビリティへの取り組みは重要視されてきています。サステナビリティは持続可能性のことです。短期的な利益のみを追求するのではなく、社会・環境・経済それぞれが長期的に持続可能な取り組みをしようというものです。

サステナビリティは日本でも若干浸透してきた程度ですが、海外ではより浸透しています。投資対象としての判断に、サステナビリティは重要視されてきています。

健康被害や環境問題の改善は、サステナビリティを促進する内容です。今後フードテック業界への投資はより活発になると予想されます。フードテックがより進歩して、いずれ爆発的に普及していくのではないかと感じます。

[3] アフターコロナ

新型コロナウィルスの影響で外食業界は大きな影響を受けました。日本でもUber Eatsや出前館といったデリバリーが流行っています。

また、家庭で料理をする人も増え、調理家電の売上も急増しました。節約したい人が増えた可能性もありますが、そうではないと言われています。料理をするという行為を楽しんだり、家族とのコミュニケーションを図るために、料理をする人が増えたと予想されています。

新型コロナウィルスの影響で、食に問われる価値も変わってきていると言えます。単なる栄養補給としての食事ではないということです。

アフターコロナで求められる注目領域は5つです。

  1. 医食同源
  2. エンタメとしての料理
  3. 代替プロテインの拡大
  4. フードロス対策
  5. 最前線ワーカー支援

[4] 代替プロテインの躍進

[4-1] 市場の活況

代替プロテイン(代替肉)は動物の肉を使わないタンパク質(肉)です。代替プロテイン市場は急成長を遂げています。その代表格がインポッシブルフーズです。

インポッシブルフーズの植物性パティは全世界で1万5千店以上のレストランで採用されています。資金調達規模は10億2,800万ドルです。他にもビヨンドミートが急成長を遂げており、大手食品メーカーもこの2社も含めた各スタートアップへ出資しています。

[4-2] 畜産の問題点

代替プロテインが盛り上がった背景には世界人口の増加があります。2050年には100億人になると予想されています。近年は貧困層が減り中間層が増えてきているため、肉の消費量が大きく増えると見込まれています。

肉の主な供給源は畜産ですが、畜産は数多くの問題を抱えています。

1つ目は道義的な問題です。効率化が進んだ結果、動物たちは狭い場所に押し込まれています。また品種改良を繰り返した結果、自らの足で立てなくなるほどになっています。

2つ目は環境問題です。動物を育てるには、飼料・水・空調管理など膨大なエネルギーを必要とします。地球上には家畜の牛15億頭、豚10億頭、鶏5,000億羽が存在しています。これらの動物を育てるエネルギーは人間全体の水と食料の消費量を大きく上回っています。

一方、ヴィーガン(完全菜食主義者)であれば、生涯を通して生きるために必要な食物を育てるために必要な農地は、平均的な肉食の人の18分の1です。植物を育てて食す方が環境に良いというわけです。

このような背景もあり、植物性原材料から作られた植物性代替肉が流行り始めています。

[4-3] 代替肉の進化レベル

代替肉の進化には5段階に分類されます。

レベル1:肉の代用品、レベル2:肉もどきです。どちらも肉とは異なる風味であり調理法も肉とは異なります。

レベル3:肉に近い喫食体験。肉の食感だけでなく味も近づけたものですが、肉好きを満足させるには至らない程度です。

レベル4:肉と同じ調理〜喫食体験。インポッシブルフーズやビヨンドミートが到達しているのがこの段階です。調理すると赤みが茶色く変色し肉の香りが広がるなど、肉に近い調理体験です。味と食感も肉に近く、肉好きを満足させるのがレベル4です。

レベル5:肉以上の機能性。調理・喫食体験が肉と同じな上に、肉以上の栄養素や保存性を実現したものです。この段階には未だ誰も到達していません。

おわりに

海外ではすでにフードテックの波が来ていることを紹介しました。新型コロナウィルスの影響が更なる追い風となりそうです。

*1:MittmacによるPixabayからの画像