【読書】寿命が延びた先にある未来
前回・前々回に引き続き「LIFE SPAN」の自分用のメモとしての要点まとめです。
https://predora005.hatenablog.com/entry/2021/08/11/190000predora005.hatenablog.com
第3部は未来の話です。健康寿命が延びることによる社会・経済への影響について語られています。
私は、生活や経済のシステムは長寿社会に適した形へ徐々に移行できると思います。ただ、移行の過程で、得をする人もいれば損をする人もいるだろうという不安はあります。
また、世代交代がなかなか起きないことへの不安も感じました。本書にもある通り政治家の顔ぶれが変わらないというのは有り得る話でしょう。それは政治家に限らず様々な組織においても起こりうると思います。
ただ、健康寿命が延びることには良い面もあります。現在は医療の発展もあり、不健康な状態に苦しみながら余生を十数年過ごし、亡くなる方も増えています。健康寿命が延びることで、亡くなる直前まで健康に過ごせる未来があるかもしれません。
第3部(未来)
長寿社会に対して誰もが抱く不安
- 地球が抱えきれる人口には限りがあり、人口の急増により食料不足や資源不足が起きると考える者も多い。
- 人類は環境を破壊し急速な地球温暖化を進めた。寿命が長くなれば人口が増え、環境破壊が進む。
100年辞めない政治家が牛耳る世界
- 現代は昔に比べて、優しく寛容で公正で、より多様性を受け入れる場所へと変貌してきた。その原動力は、人間が長くは生きないということ。旧来の見方に頑なにしがみついていた者が世を去ることで、新しい価値観が花開いてきた。
- 人間の寿命は長いため、文化や思想の進化には数十年を要してきた。
- ナショナリズムへの回帰は、高齢者の数と割合の増加が影響しているという見方がある。
- 高齢の有権者は高齢の政治家を支持する傾向にある。
- 数の多い高齢の有権者が長生きすれば、政治家の顔ぶれが変わらなくなる。
富裕層がより長生きする
- アメリカ人の収入上位10%は下位10%より13年長生きする(2018年時点)
- 富裕層の方が健康や医療に投資できる。健康を保ったまま長生きし、より一層の資産を蓄積することになる。
- 富裕層が長生きする影響は政治にも及ぶ。お金を持つ富裕層の政治への影響力が長期間にわたって及ぶ。
寿命を延ばすことは不自然か
- より良い暮らしを送るためにできることには限界がある、という考えを受け入れることの方が不自然。そのような発想は、人類の歴史が始まって以来現れていない。
- 寿命を延ばすことが不自然なら、文化や科学技術も不自然ということになる。
未来を悲観するのは恵まれていることの裏返し
- この先世界は良くなっていくと思うかという質問に「良くなる」と答えた人の割合は、先進国では少ないが、それ以外の国では多い。
- 中国、ブラジル、ロシア、インド、トルコなどでは未来を明るいものと捉える傾向が高い。生活水準が上向けば、貧困率が減少し、きれいな水や電気が利用しやすくなる。食料や住居も安定して確保できるようになり、医療も受けやすくなる。
- 過去100年で、子供の死亡率は36%から8%に減り、識字率は21%から80%に増えている。
高齢者が活躍できる社会へ
- 仕事の現場において、年齢による差別が蔓延している。高齢の労働者は病気になりやすく、仕事が遅く、新しいテクノロジーを扱えないと決めてかかっている。特に、指導者の立場にある人や経営者については当てはまらない。
- 定年退職する人がいなければ、若い労働者が仕事から締め出されると心配する人は大勢いる。
- 昔の人が恐れていたのは「人が多すぎて資源が不足する」か「人が多すぎて仕事が足りなくなる」か。1963年には、自動化が人間にとって変わり多くの人が職を追われると考えていた。しかし、現実はそうならなかった。
老化を遅らせることによる経済効果
- 現状では高齢化は経済にとって二重の打撃。病気になった人は経済活動が行えず、多額の医療費を必要とする。
- 健康寿命が延び、高齢者がもっと長く働けるようになったら経済面での打撃は緩和される。
- 医療費が削減されれば、科学研究や教育に予算が回せるようになる